福井大学 規程集(公開用)

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福井大学におけるアカデミック・ハラスメントの防止・対策に関する指針
平成18年11月15日 学長裁定 
平成22年3月31日 一部改正
1.指針制定の基本方針
福井大学は,日本国憲法,教育基本法及び学校教育法の精神に則り,福井大学における研究,教育,医療に関わるすべての人の基本的人権を尊重し,アカデミック・ハラスメントのない快適な環境のもとで,働き,学び,研究,教育する権利を保障することが何よりも重要と考えています。
大学におけるアカデミック・ハラスメントは,研究,教育,勉学,課外活動,就労等の権利と自由を侵害し,修学意欲,教育意欲,研究意欲,労働意欲を損ない,大学の活力ある活動に重大な影響を及ぼします。
福井大学は,アカデミック・ハラスメントを禁止し,アカデミック・ハラスメントに対して厳しい態度で臨み,研修や啓発を通してアカデミック・ハラスメントの防止及び排除に努め,快適な研究,教育,勉学,課外活動,就労等の環境を作る努力をします。
この目的のために,この指針を定めます。
2.この指針の対象
(1) この指針は,福井大学に働き,学ぶすべての教員,職員(いずれも常勤職員,非常勤職員等の別を問いません。),学生(学部学生,大学院生,留学生,研究生,科目等履修生,公開講座等の受講生など,福井大学で教育を受けるすべての者を含みます)を対象とします。
(2) この指針は,アカデミック・ハラスメントが福井大学の教員,職員,学生の間において問題となる場合は,大学内・外,授業中・外,課外活動中・外,勤務時間内・外等にかかわりなく,適用されます。
(3) アカデミック・ハラスメントが福井大学の教員,職員,学生と学外者との間において問題となる場合は,それが福井大学における研究・教育に関連して行われた場合に限り,この指針を適用します。加害者が学外者の場合も,この指針の精神に従って,大学として必要,適切な措置をとるよう努力します。
3.アカデミック・ハラスメントの定義
(1) この指針で禁止されるアカデミック・ハラスメントとは,教員,職員,学生が,研究,教育,勉学,課外活動,就労等の関係において,上位の立場にあることを利用して行った不当な差別的取扱い,指導責任の放棄,権限の濫用,進路に関する妨害や干渉,または人格を誹謗する言動などによって,研究,教育,勉学,課外活動,就労上の不利益を与え,または研究,教育,勉学,課外活動,就労上の環境を悪化させる行為を言います。(具体例については別紙に示します。)
(2) 「不当な差別的取扱い」とは,正当な理由なく,成績・業績等の評価,研究費の配分,施設・設備の利用,業務の分担などにおいて差別的に取り扱うことを言います。
「指導責任の放棄」とは,教員が学生に対して負うべき教育上の責任(例,講義・演習,卒業研究・修士論文・博士論文の指導)を一方的に放棄することを言います。
「権限の濫用」とは,教員等の有する指導権限等を濫用して,本来の研究・教育とは関係のない業務を行わせるなどの行為を言います。仮にこのような行為が必要であると判断した場合でも,相手方に対して,その行為の必要性とその内容が妥当であることの根拠を説明する責任があります。
「進路に関する妨害や干渉」とは,上位の立場にあることを利用して,進路の選択や就職活動に対して不当な妨害や干渉を行うことを言います。
「人格を誹謗する言動等」とは,人種,民族,出身,身体的特徴など研究,教育に関わりのない相手方の属性をあげることなどにより,相手方の人格の否定,誹謗,中傷等となる言動を言います。こうした言動は,たとえ教育,指導の名目であっても許されません。
(3) アカデミック・ハラスメントは,教員から学生へ,上司から部下へ(例,教授から准教授・講師・助教,助手へ),または上級生から下級生へなされることが多いのですが,これら以外の場合も問題になることがあります。
(4) アカデミック・ハラスメントは,同時にセクシュアル・ハラスメント(福井大学におけるセクシュアル・ハラスメントの防止・対策に関する指針(平成16年4月1日学長裁定)の禁止する言動をいう。以下同じ。)にも該当し,併せて進行する場合もあります。そのときは,両方のハラスメントを同時に排除する必要があります。
4.大学の責任と構成員の責務
福井大学のすべての教員,職員,学生は,アカデミック・ハラスメントによって研究,教育,勉学,課外活動,就労等の権利と自由を侵害されることがあってはなりません。従って,福井大学のすべての教員,職員,学生は,この指針に従い,アカデミック・ハラスメントを起こさないように努力し,注意しなければなりません。
福井大学は,福井大学人事委員会のもとにアカデミック・ハラスメントの防止・対策に責任を持つ「ハラスメント防止・対策専門委員会」(以下「防止・対策専門委員会」という。)を設け,研修や啓発を通してアカデミック・ハラスメントの防止及び排除に努め,快適な研究,教育,勉学,課外活動,就労等の環境を作る努力をします。また,アカデミック・ハラスメントの被害者の相談窓口として「相談員」を設けて被害者の相談を受けるとともに,その解決のために防止・対策専門委員会の下で組織的に取り組みます。(研修・啓発については別紙に示します。)
5.アカデミック・ハラスメントを起こさないための基本認識
福井大学における研究・教育は,「個人の尊厳を重んじ,真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに,普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育」(教育基本法前文)を担い,「学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させる」という大学の目的(学校教育法第52条)にふさわしいものとして行われなければならず,福井大学のすべての教員,職員,学生は,学問の自由(日本国憲法第23条),教育を受ける権利(同第26条)を保障されつつ,それぞれの立場でこの大学の目的を達成するよう研究・教育などの活動にあたるものです。福井大学のすべての教員,職員,学生は,それぞれこのような大学における研究・教育を担っているという自覚を持ち,それぞれの有する権利と自由および相手の人格を尊重し,相手の立場に立って考え,行動しなければなりません。
6.もし,アカデミック・ハラスメントにあったら
(1) もし,アカデミック・ハラスメントにあったら,そのときの状況について,できるだけ詳しく記録をとっておいて下さい。アカデミック・ハラスメントは往々にして密室で行われることが多く,立証が困難です。そのため,「いつ,どこで,誰から,どのようなことをされたか」等について記録をとっておきましょう。
また,証人になってくれる人がいるときには,後日のためにその人に証人になってくれることの確認をとっておくことが必要です。
(2) もし,あなたの周囲にアカデミック・ハラスメントにあっている人がいたら,勇気を出して助けてあげましょう。加害者に注意したり,被害者の証人になったり,相談にのってあげたり,相談員のところへ同行してあげたりしましょう。
(3) 教員,職員については離職してからでも,学生については学籍を失ってからでも,在職中もしくは在学中に受けたアカデミック・ハラスメントの被害の救済を相談員に申し出ることができます。
7.すぐに相談しましょう
福井大学は,アカデミック・ハラスメントに関する苦情の受付や相談に応じるために「相談員」を設けます。アカデミック・ハラスメントにあっていると思ったときには,すぐに相談しましょう。
(1) 相談員は,相談者の名誉,プライバシーを守り,秘密を他に漏らしませんので,安心して相談して下さい。
(2) あなた一人で相談員の所へ行きにくいときには,親しい人に一緒に行ってもらいましょう。
(3) 相談員の所へ行きにくい場合は,匿名や第三者による相談も受け付けます。
(4) 相談員は,相談者が受けた行為がアカデミック・ハラスメントにあたるかどうかについて相談に応じます。
必要な場合には,カウンセラーや弁護士などの手配をします。
(5) 相談は,面談の他,手紙,電話,FAX,e-mailなどでも受け付けますので,あなたの最も利用しやすい方法で相談して下さい。(苦情,相談等に関する指針は別紙に示します。)
8.問題解決の手続き
アカデミック・ハラスメントの被害にあったとき,紛争の解決方法には,防止・対策専門委員会の下で行われる調停(話し合いによる解決)と,苦情申し立て(環境改善の措置)があります。(手続きの詳細は,別紙に示すほか,「国立大学法人福井大学ハラスメント防止・対策専門委員会要項」で定めます。)
調停と苦情申し立てのどちらの方法をとるかは被害者が決めますが,事前に相談員と相談することを原則とします。
9.学長,部局長のとるべき措置
教員,職員,学生からの苦情申し立て,相談に関わる問題について,防止・対策専門委員会からの報告(報告には環境改善・再発防止措置等に関する参考意見等を含む)があった場合,学長,部局長は以下のような措置をとるものとします。
(1) 学長および関係部局長は,防止・対策専門委員会の報告を尊重し,問題を迅速かつ適切に措置するよう努めます。審議が必要な場合には直ちに審議を行います。学生からの苦情申し立てがあった問題で,加害者が申立人の指導教員や受講科目の担当教員である場合には,部局長が指導担当の交代や授業等の禁止を含めた措置をとるものとします。
(2) 関係部局での審議に際しては,加害者とされた当事者に意見表明の機会を保障しなければなりません。
(3) 関係部局での審議の結果に基づき,必要に応じて教育研究評議会の審議を経て,大学としての対応が決まります。
(4) 大学としての対応が決まった場合,学長は,被害者にその結果を伝えるとともに,関係者のプライバシーと人権に配慮しながら,経過と結果を大学内に公表しなければなりません。
(5) 学長,部局長は,アカデミック・ハラスメントの再発防止に必要と考えられる場合には,その都度環境改善の措置をとるものとします。
10.アカデミック・ハラスメントに対してとられる措置
(1) 大学は,被害者に対して心のケアを含む可能な限りの救済をしなければなりません。
(2) その言動がアカデミック・ハラスメントであると認定された人は,必ずアカデミック・ハラスメントに関し加害者を対象とする研修を受けなければなりません。
(3) その言動がアカデミック・ハラスメントであると認定された人は,学則や法律によって処分,処罰されることがあります。教員および職員にあっては就業規則に基づき懲戒処分に付されることがあります。
(4) アカデミック・ハラスメントを受けたと虚偽の申し立てをしたり,アカデミック・ハラスメントがあったと虚偽の証言をしたりすると,学則等により処罰されることがあります。
11.不利益取扱の禁止
(1) アカデミック・ハラスメントに関する苦情申し立て,相談をしたこと,苦情や相談に関わる問題の調査に協力したり証言したこと,その他アカデミック・ハラスメントに関して正当な対応をした大学の教員,職員,学生に対して,何人も不利益な取扱をしてはなりません。
(2) アカデミック・ハラスメントに関する苦情を申し立てられた人や相談をされた人は,そのことをもって苦情を申し立てた人や相談をした人に報復してはなりません。もし,報復がなされた場合には,大学として必要な措置をとります。
12.アカデミック・ハラスメントの防止のために
防止・対策専門委員会は,福井大学においてアカデミック・ハラスメントが発生しないようにするために,あるいは再発しないようにするために,次のような活動をします。
(1) 啓発のためのパンフレットやポスターなどを作成します。
(2) 大学構成員に対する講演会,研修などを通して,アカデミック・ハラスメントに対する理解を深めてもらうよう努めます。
(3) その言動がアカデミック・ハラスメントであると認定された人に対して研修を行います。
(4) 必要な場合には意識調査や実態調査を行い,結果を公表します。
(5) 毎年度ごとに,アカデミック・ハラスメントに関する苦情や相談の概要を公表します。公表にあたっては,被害者の人権を最優先させるとともに,関係者のプライバシーを侵害しないよう配慮します。
13.指針の見直し
このアカデミック・ハラスメントの防止・対策に関する指針については,防止・対策専門委員会の責任において,2年を越えない期間毎に実態と照らし合わせた見直しを行い,また必要な改訂を行うものとします。ただし,それ以前に見直しの必要が生じた場合は,必要に応じて見直し・改訂をすることができるものとします。
福井大学の教員,職員,学生は誰でも,防止・対策専門委員会に対して見直し・改訂を提案することができます。
  別紙(指針の付属文書)
3項関係:アカデミック・ハラスメントになり得る言動の例
アカデミック・ハラスメントになる可能性のある言動としては,以下に掲げる事例のようなものが考えられます。多くは教員が学生に対して行う例をあげていますが,上下関係のある教員間,職員と学生,あるいは教員と職員の関係において生じる場合もあります。
1.暴力的な言動
指導教員に,「明日は就職活動のために会社訪問をするので,大学には来れない。」と伝えると,「就職活動をするなど,やる気のない証拠だ。お前はやる気がないから卒業させない。」と言われる。それ以降も,「おまえはやっぱりダメだ。」,「大学をやめろ。」,「卒業させない。」等と言われ,気分が沈んで,欝的になってしまった。
2.雑用の強要や長時間にわたる拘束
指導教員から,授業の無いときにも教員の研究室に来るように言われる。研究室に行くと,手伝ってくれと言われ,教員の書類の整理や,研究とは無関係な書類のパソコン入力をするように求められる。指導教員の引越しには手伝いに出かけた。また,指導教員に来客があると,茶菓を用意したり,接待をするように言われる。5時になって帰ろうとすると,急に機嫌が悪くなり,「お前はやる気がない。」と怒られる。
3.業務分担に関する嫌がらせ
主任の地位にある教員が,准教授や助教,助手,教務職員の講義や学生実験の担当に関して,合理的な説明のないまま,分担を強要し,または一方的に担当から除外する。
4.いじめや差別に相当する言動
「毎日研究室に来ないと演習の単位を出さない。」と言われる。一日でも休むと,「お前は研究態度がなっていない。」といって指導教員の印鑑が必要な書類に判を押してくれない。あるいは卒業研究に必要な装置を使えないなどの扱いを受けた。
5.酒の無理強い,一気飲みさせること,無理な宴席への誘いなど
夜遅くまで研究室で作業をしていると,教員から「お酒を飲みに行こう。」と誘われる。お酒はあまり飲めないので断ると,教員は不機嫌になる。コンパの席では,酒が弱いのを知っているのに,酒を飲みことを強要されるし,先日は一気飲みをするように言われた。
6.論文の盗用
文章のアドバイスをしたということで,指導教員を第一執筆者にさせられた。また,アイディア(作品)を提出したら,すべてその教員の作品として本に載った。
7.研究活動に対する妨害
准教授や助教,助手が,所属講座の主任教授に対して出張を申請しようとして相談したところ,主任教授は,なぜ拒否するのかという合理的な説明のないまま,承認を拒否した。そのため,出張を予定していた者は年休を取って学会出張し,研究発表を行わざるを得なくなった。
8.兼業に対する妨害
これまで認められていた他大学への出講について,継続申請しようとして相談したところ,昨年度と同じ兼業の申請であるにもかかわらず,主任の地位にある教員が,なぜ拒否するのかという合理的な説明のないまま,承認を拒否した。
9.進路に関する妨害,干渉
本人の意向とは関係なく,就職希望先や転職先を強要する。また,進学希望でないことに,あからさまに不機嫌な態度で接する。さらに,就職内定先について,「知っている人がいる。」と暗に就職を妨害できることをほのめかす。
4項関係:研修,啓発の具体化の例
福井大学では,アカデミック・ハラスメント防止のために,あるいは再発を防ぐために,防止・対策専門委員会が中心となって次のような研修や啓発事業を行います。
(1) 新入生向けのガイダンスや「大学教育入門セミナー」等において,指針の趣旨についての講義を行う。
(2) 新任や転任してきた教員及び職員に対しても,適宜,研修を行う。
(3) 防止・対策専門委員会委員および相談員については,アカデミック・ハラスメントに関する相当程度の知識を持ち,個々の事例に応じて適切な対応をとることが必要となるので,定期的に専門的な研修(学外の専門家によるものを含む。)を受けるものとする。
(4) 指針及び関連の要項を学生便覧に掲載するだけでなく,パンフレットやリーフレットにして,全構成員に配布すると同時に,啓発ポスターを学内に掲示する。
(5) 必要に応じて講演会を開催する。
7項,8項関係:苦情,相談等に関する指針
(1) 相談員が,教員,職員,学生からの苦情申し出や相談に応じます。
希望する相談員に,部局を越えて直接申し込むことができます。
なお,相談員の所属,氏名,連絡先等については,防止・対策専門委員会が定めた方法により学内に公表します。
(2) アカデミック・ハラスメントの被害にあったとき,紛争の解決方法には,調停(話し合いによる解決)と,苦情申し立て(環境改善の措置)があり,防止・対策専門委員会に置かれる「調査・調停専門部会」が公正中立の立場からその任にあたります。そのため,同一事案については,調査・調停専門部会員は,相談を受けた相談員以外の者の中から選任するものとします。解決法として調停と苦情申し立てのどちらをとるかは被害者が決めますが,事前に相談員と相談するのを原則とします。
また,調停あるいは苦情申し立ての訴えが直接,防止・対策専門委員会にあった場合は,早急に相談員を斡旋するものとします。
(3) 相談,調停および苦情申し立てがなされた後にも,そのアカデミック・ハラスメントの疑いをかけられている行為が継続しており,かつ緊急性があると相談員あるいは調査・調停専門部会員が認めた場合,防止・対策専門委員会はその行為をやめるよう当事者に勧告できます。
(4) 苦情の申し出や相談には付添人を同席させることができます。
(5) 調停や苦情申し立て手続きの過程で,被害者を抑圧したり被害事実の揉み消しが行われてはなりません。手続き過程に不服がある場合,申立人は当該担当者の交替を請求したり,手続きの打ち切りを請求することができます。
(6) 調停や苦情申し立ては,被害者本人の他,被害者が学生の場合,その保護者が行うこともできます。